フィギュアスケートのバッチテストの実態【何が難しい?・トップ選手の伝説】

あなた
バッチテストってなーに?

みんな7級持っているけど…?

バッチテストは何するの?

どうもこ無沙汰しております。
元フィギュアスケーターのヅメです。

さて、皆さんはフィギュアスケートのバッチテストについてはどのくらいご存知ですか?

メディアでは全くと言っていいほど取り上げられないので、知らない方も多いかと思います。

本記事では、フィギュアスケート選手しか知らない情報が満載となっているので、楽しんで頂けたら幸いです。

本記事での結論を先に言いましょう!

フィギュアスケート選手の7級所持は当たり前ではない!!

です。

記事テーマはこちら。

・バッチテストの基本情報

・フィギュアスケート業界を経験した人にしかわからないバッチテストの経験談

・トップ選手の語り継がれてる伝説

※情報は時代や地方によって若干に違うので、参考程度にお楽しみください。

それでは、どうぞ!

目次

バッチテストとは?

バッチテストとは、試合に出場するための公式の「資格」 です。

空手でいう帯の色、みたいなものですね。

初級から8級まであります。英検とか書道とは違い、数字が上にいく程レベルが高いのが特徴。

この「資格」を取得するには、月1回ほどの定期的に行われる試験、すなわちバッチテストを受けて合格する必要があります。

各自関係者は日本スケート連盟のホームページから申し込む感じです。

そこでは、公式ガイドラインにて決められたエレメンツ(技)やプログラム(演技)をジャッジに見せるような内容です。

フィギュアスケートの「級」の特徴

7級さえ取得すれば全ての大会資格が習得が可能ということです。

そのため、8級が一番上にも関わらず、大概のトップ選手は7級でストップしています。

あの浅田真央選手も羽生結弦選手も7級です。ちなみにヅメも一応7級。笑

全日本に出るための必須資格と言えます。

この7級で終わる現象の理由は自分もよくわかりません。

こういうもんといいますか、いわゆるスケート業界の常識みたいなものでしょうか。

考えられる理由

1つ挙げられる理由(予想)としては、

7級までは連盟が月1回定期的にバッチテストがどこかで開催されていますが、

8級は受験できる期間がかなり限定されている上、一部のジャッジしか試験官に立ち会えないということが考えられます。

もう全ての試合に出場する資格もあるし、

時間とお金と手間を使ってまで8級を取得する意味はないな〜

と判断している関係者が多いです。

あ、もちろん8級の難易度がめちゃくちゃ高いというのもあります!笑(試験内容は後で説明します)

そして、例外もあって、小塚崇彦さん、中野友加里さん、最近では横井ゆは菜選手など、8級を取得している人もいます。(友野一希選手も挑戦中かな?)

メリットとしては、試合のパンフレットで8級と書かれるとファンはもちろん、

スケート関係者も「おおーー!」と話題になります。笑

バッチテストは何をするの?

冒頭でもチラッと記載した通り、決められたエレメンツやプログラムをジャッジに披露します。

ざっくりした内容はこんな感じです。

内容
初級エレメンツのみ
1級エレメンツ、ステップ
2級~5級エレメンツ、ステップ、フリープログラム(選手であれば4級までは比較的スムーズにいけます)
6級~8級エレメンツ、ショートプログラム、フリープログラム

特徴的な課題要点として下記にて簡易的にまとめました。

内容
1級、2級1回転ジャンプ全般、1+1のコンビネーションジャンプ、基本スピン、基本ターン
3級、4級2回転ジャンプ全般(アクセル以外)、キャメルとかシット姿勢のスピン、難しいターン
5級ダブルアクセル(以下2A)カウンター等の高難易度のターン
6級、7級3回転ジャンプ、ショートプログラム、フリープログラム
8級男子は3回転ジャンプ5種類!女子は3回転4種類!

ちなみに情報が若干古いですが、細かい内容は全て下記のリンクに記載してあります。

https://www.jfsia.jp/document/2012test.pdf

エレメンツのテスト

時間の都合上ほぼ氷上練習はありません。なので、ぶっつけ本番。

受験者は氷上でジャッジの前に集合&整列し、

ジャッジ
では最初に○○のエレメンツをしてください

と言われるので、

決められたスペースで順番に1人ずつジャッジの前で技を見せます。

チャンスは2回。1回失敗しても2回目に成功したらオッケーです。

失敗したり、少しでも回転が足りないような怪しいジャンプをすると「もう一度お願いします」と言われます。

1回目で綺麗に成功させた場合は、

ジャッジ
次は○○のエレメンツをしてください

と言われ、同じように披露します。

そうして、決められた課題が全て終わるまで、ジャッジの前でエレメンツを見せることを繰り返します。

ステップのテスト

決められた音楽に合わせてパターンステップを披露します。

大体のステップの課題はリンクの中心の円一周分なので、ひとり30秒ほどで終わります。

こちらもエレメンツのテスト同様、チャンスは2回。

決められた音楽が終わるまで永遠と流れており、順番が回ってきたら、音に合わせてステップを踏み始めます。

プログラムのテスト

こちらはほとんど試合と同じようにします。6分間練習後に順番に自分のプログラムをジャッジへ披露します。

エレメンツとステップと違い、チャンスは1回のみ。基本的にノーミスしか許されないので、試合以上に緊張することが多いです。。笑

そうして、上記に記載した課題をジャッジへ披露した後、しばらくすると、リンクの更衣室などにまた集合し、一人一人合否を発表します。

合否の発表後、ジャッジからフィードバックをもらいます。

合否に関わらず、今後の改善点を淡々と言われます。

バッチテストの難易度

ヅメのバッチテストの手帳を公開しながら、説明しちゃいます。

スケート選手なら誰しもが持っている手帳ですね(みんな匂い嗅いで「変な匂い!」って言うのがお約束w)

ここでは、7級まで取得したヅメ視点で「どの級が特に難しかったか」をまとめます。

結論から言うと

5級から難易度が跳ね上がります!!

5級がどうしても合格できなくて、スケートを辞めた選手も結構知っています。ちなみに自分も2回落ちています。

6級も同じくです。

6級さえ受かると、出場できる試合がかなり増えるので、続ける人が多い印象です。

では、なぜ難易度が上がるのか、まとめました。

内容
5級2Aがとにかく難しい。

習得するまでの期間が選手によってばらつき始めるジャンプです。

この2Aが飛べないと絶対に5級が受からない大きな壁として立ちはだかります。

2Aからフィギュアスケート専用の「能力」が必要となります。早くしめる腕と足の力、恐怖心に負けない思い切った踏切など。
6級2Aができたと喜んだ束の間、今度は3回転ジャンプという、新たな壁が登場。

2Aとはまた訳が違います。3Tか3Sに挑戦し始めるが、当然最初からできる選手はいません。

ノービスの上位選手じゃない限りはそれなりに時間がかかります。また、ショートプログラムを作り始め、覚えることも一気に増えます。

ジャンプがたったの3本という独特な緊張感に慣れる必要もあります。

トップ選手の伝説

さて、ヅメなりにバッチテストについて語ってきましたが、どの世界にも次元が違う人がいます。

そう、テレビでよく見るあんな人やこんな人です!!!笑

自分は7級が取れたのが、確か中3になりたての頃でした。

何回かバッチテストに落ちていますが、我ながら綺麗な方のバッチテストの手帳だと思っています。

ただし!!!!

世界は広いのです。

・ランドセル背負ってる年に7級を合格した人(三浦佳生くんを始め、全日本ノービスTOP3の子たち) 
11歳とかで7級合格する人が実際に存在する。女子は特に7級まで早い子が多め。

・7級のバッチテストなのに、8級の課題でぶっちぎり合格した選手(今のシニアのトップ層は大体そう) 
7級は本来、3Tと3Sでまとめたら合格できます。エレメンツの発表の際に一応「3回転ジャンプ(種類は自由)」となっていますが、3Lzと3Fという、一番難易度の高い3回転ジャンプをあえて発表する人も結構います。笑

・一度たりとも不合格の判子がないピッカピカのバッチテスト手帳を持っている人

初級から7級まで全部一発合格!確かにコーチによっては、合格ラインに仕上がるまでは絶対受験させないクラブもありますが、それでも本番の強さがすごい。笑

スケートファンの皆さんが応援している選手は、大体上記3つどれか当てはまっているか、あるいは全部当てはまっている天才ばかりなはずです。笑

まとめ

スケートファンの皆様は、当たり前のように7級の選手を見ていますが、7級まで持っていることは当たり前ではありません。笑

7級を所持しているだけでもとても貴重ですごいことであることを噛み締めて、スケート観戦してもらえれば、選手・関係者はとてもハッピーになります。

・バッチテストは試合に出場するための資格

・5級と6級が特に難しい

・トップ選手のバッチテストは異次元

・7級所持は当たり前じゃない

一応7級を所持しているヅメの経験談記事でした。

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